巧妙な密輸手口:一般の視線から逃れる
舞台はオランダ。去年の12月初旬、一つのコンテナが船に積み込まれ、釜山、韓国を経由して博多港に向かっていました。そのコンテナの中には、一見何も問題のないロードローラーが格納されていました。しかし、そのローラー内部には違法な覚醒剤が巧妙に隠されていたのです。
九州厚生局麻薬取締部は、この潜在的な脅威に気づき、船が博多港に到着するとすぐに覚醒剤を押収しました。その量は驚愕の約110キロで、末端価格はなんと約90億円に上りました。
「泳がせ捜査」による見事な逮捕劇
さらに、取締部は押収した覚醒剤を別の物質に巧みに入れ替え、コントロールド・デリバリーと呼ばれる「泳がせ捜査」を開始しました。その結果、同月21日に、代替物を覚醒剤と誤認し、それを所有したとして5人の男たちを麻薬特例法違反容疑で逮捕することに成功したのです。
逮捕されたのは、北村竜次容疑者(37歳、会社経営、佐賀県神埼市神埼町在住)を含む5人の男たちで、その他の4人は米国、ベトナム、カナダ、セルビアの各国籍を持つ30代から50代の男たちでした。
その後、福岡地検は捜査を続行し、処分保留としていましたが、今年の1月11日に、覚せい剤取締法違反(営利目的輸入)容疑で5人を再逮捕しました。
この事件は、まだ解明されていない多くの疑問を残していますが、麻薬取締部の手際の良い捜査により、5人の男たちは法の裁きを受けることとなりました。しかし、彼らが覚醒剤を密輸した全体像は、これからの捜査によって明らかにされるでしょう。